比べるなんてできない
季節の変わり目で、嗚呼なんだかからだがかゆいなあという気がして、
薬局でいくつかかゆみどめを買ってみるも、なんだかお上品すぎて効かず、
そういえばパッケージに黒木瞳が書いてあったなあ、とか、
黒木瞳のかゆみってたいしたことなさそうだなあ、とか、
ていうか黒木瞳がかゆくなることとかあるんだろうか、とか、
黒木瞳よりも絶対にあたしのほうがかゆいんだから、とか、
よくわからない黒木瞳への嫉妬心と紆余曲折を経て、
最終的になんとなく昔ながらのムヒを買ってみた。
で、ある日お風呂上がりにすぐムヒを塗ったら、まあちょっと考えたら予想できそうなことではあるんだけれど、
なんかめっちゃスースーする、ってなって、
てかスースーが止まらない、ノンストップスースー、キャントヘルプスースーイング、ってなって、
スースーしすぎて私どうにかなっちゃうんじゃないか、って思ったんです。
日本でいちばんとは言わないまでも杉並区ではかなり上位でスースーしていたはずなんです。
なんていうか、消えちゃうんじゃないかって、思ったんです。
いまわたしが消えたら、わたしがスースーしすぎたゆえこの世からいなくなったことを誰も知らない、と思って、
焦ってお母さんに電話したくなるくらいにはスースーしてたんです。
その後ともだちと約束してたから、いかに先ほどまで私が前代未聞にスースーしていたかを若干コーフン気味に伝えたのだけどあまり共感を得られず。
もはやスースーって言いたいだけなんですけれど。
さらにムヒってなんでムヒっていうんだろう、って調べてみたら、
「無比」らしく、『比べるものがないほど(すぐれた効き目)』という意味をこめてつけられているらしいんです。
え、、、ちょういい名前だし!
壁際に追いつめられておまえはおれのムヒだ、って言われたら、もう完全に、もうですよね。
しかも今週仕事がトラブル続きで若干落ち込んだりしてたんで、
そんなときにムヒだとか言われたら、アタシ、、ムヒなの?って一発ですよね。
生きてていいの?ムヒなの?って。
嗚呼私も誰かのムヒになりたい。そういうことですよね。
そう私はただ彼氏がほしいんじゃない、ほしいのはただひとりの、、ムヒ、、などと、
ムヒの立派なネーミングのせいで複雑なきもちで数十秒空を見つめる、ということになったりしたわけです。
みたいな感じで本当に日々雑念が多く、
大学のときに同じクラスの男の子に、エミちゃんが8ピロでよくぼーっとしているのは
昔バイク事故で死んだ彼氏のことを思い出しているときだ、
という設定にされていたりして、もちろん私にそんな悲しいドラマティックな過去はないのですけれど。
ただ本当に日常生活に若干の支障があるレベルでなんだか色々散漫なんです。
だってカタカナでムヒって書いてあったらなんかこう、小林製薬的な楽しげなネーミングかな、って思ったらまさかの無比でガーンっていうか。
そんな雑念を振り払うべく本日も環七を走るのであります。
ていうかもう眠すぎて無比からいいこと言おうと思ったのに言えないおやすみなさいグー。