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意識散漫系ブログです。

海へ行くつもりじゃなかった

ここ3年ほど髪の毛を短くしているのですが、
短いとがらっと雰囲気を変えるのも難しく、
マイナーチェンジを繰り返すばかりである。
 
なにかないかしらと思ってヘアカタログを見ていたところ、
襟足に少しだけパーマをかけて外ハネにしたヘアスタイルがあったので、
いつもは親のかたきとばかりにすぐ伸びてくるえり足をこれでもかと短く切っているところを
そーかいそーかいじゃあおじさんえり足にパーマあてちゃおうかなという気になり
美容師さんにその写真を見せたところ、
「あ、いいじゃないですかかわいいですねえ、今また、ウルフきてますし」
と言われたのである。
 
うまく言えないけれど、そんなつもりじゃなかったのだ。
ウルフの波に乗るつもりなど毛頭なかった。
ただちょっとだけ、いつもと違うふうにしたかっただけなのだ。
だいたい前回ウルフがいつ来てたかも、知らないのである。
 
仕上がりは思い通りだ。なにしろ上手なのだ。腕がいい美容師さんなのだ。
 
だいたい、えりあしにパーマをかける→えりあしにまあまあの長さがある→そのことをウルフと言う
わけであって、ウルフは結果なのだ。
そこにウルフがあったから、じゃなくて、山に登ったらウルフがいたのだ。
ちゃおー、みたいな感じで、ウルフがいたのだ。
 
そんなことは美容師さんにとってはどうでもいいとは思うんだけれど、
わたしがウルフに興味を持ってこの髪型にしたわけじゃないということを
伝えたかった。
でも、これを面倒くさくなく言う言い方がわからない。
 
結果、わたしは頬をあからめこくりとうなづいた。
ウルフがきてる事実に後押しされた形で、えり足にパーマをかけたのである。
いいのだ。気に入っている。
ただすべてはこの肥大した自意識がわたしを赤面させるだけなのだ。
 
カラーするときも、写真を持って行くとたいてい
「アッシュ系ですね」って言われるんだけれど、
アッシュ系なつもりじゃないんですよ!って心の中ですかさず叫んでしまったりする。
知らなかったのだ。その色がアッシュ系だということを。
あと、アッシュ系の裾野が広すぎるっていうか、アッシュ系の包容力が半端ないっていうか、
おじさんにはわからないんだけど、この色はアッシュ系で、え、この色もアッシュ系なの?っていうことが、多いんです。
大人は!すぐに!そうやって!カテゴライズして!と、わたしの中のかすかに残る思春期が叫んでいるのです。
 
そんなつもりじゃなかった、ということは、日々の中でまあまあよくある。
 
近所のお店で、かわいくてずっと買おうか迷っているスカートがあるんだけれど、
前回行ったときに鏡の前であてていたら、店員さんが、
 
それ、かわいいですよね。ウエスタンブーツとか履いて、上、革ジャンとか着て、
シックスティーズ的な感じでキメて頂くのとか似合いそうですね!
 
と仰られたのである。
 
そんなつもりじゃなかった。
シックスティーズ的な感じでキメるつもりじゃなかった。
よくわからないけれど、2014年的な感じでキメるつもりだった。
 
わかっているのだ。購買意欲を高めようとして、褒めるつもりで店員さんは言ったのだ。
実際ほんとに60年代のものらしい。
しかしとりあえず今日は買えない。シックスティーズの重圧に耐えられない。
プレッシャーに弱いのだ。
俺今、サッカーにしか興味ないから、みたいな感じで、
付き合うとか興味ねえし、みたいな感じで、
店をあとにしたのである。
買えばいいのに。1万3800円である。32歳OLがためらうほどの金額ではない。
 
嗚呼、もっと大きな人間になりたい。
ウルフ、来てるんですか?じゃあこの髪型でお願いします☆
と堂々と言いたい。
シックスティーズ、キメちゃいますか☆
とか言いながら、そしらぬ顔で2014年的にキメればよいのだ。
 
あたしって〜こういうキャラじゃないですか〜
っていうのを、もうずいぶん捨てたつもりだったのだけれど、
大人になったと思っていたのだけれど、
まだまだである。
 
ひとに誤解されることを気にしない。
そういうものにわたしはなりたい。